世界に学ぶ自転車都市のつくりかた 人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン
Bicycle Club の何号か前の特集で取り上げられていたのが気になって読んだ、自転車にまつわるインフラデザインについての本。
都市計画の観点でダントツの自転車先進国であるオランダやデンマークの道路がどうデザインされているのかを皮切りに、じゃあアメリカやイギリス、フランス、ドイツ、そして日本はどうなってるのかを各都市の現在の状況を見せながら比較して、主に日本はどうしていくべきなのか語られている。
読んでみて、まず結構意外に感じたのは、アメリカのニューヨークみたいな都市で道路設計の見直しがガンガンされていて、自転車や歩行者にとってよくなっている点。というのは自分がたまに見るトラックバイクのビデオなんかを見る限りでは、道路の上では完全な自己責任で個人の走行能力や判断に裁量を委ねられているように見えていたのと、そもそも自動車の立場が強い社会だと思っていたからで。
冷静に考えてみれば、信号無視上等みたいな側面もでかかったトラックバイクカルチャーにおいて、お上の作った道路設計に従って走ってる訳はないのだから、実際の道路のデザインが見えるビデオである訳はないんだけど、よくよく思い出してみると、都市によってはトラックバイクがぶち抜いていく一般の自転車の走るレーンが歩道と駐車帯の間に設置されていたような気がするのだった。
また目から鱗だったのは、そもそも道路において自動車みたいな一番質量も速度もある危険な乗り物が一番快適に走れるようになっていて、歩行者や自転車はその割りを食わされているのは完全に間違ってるという道路の捉え方で、その観点に立てば、たとえば自転車乗ってる人間の方が安全の為とか言ってヘルメットの着用が強いられるのは設計として違うでしょと言えてしまうようなことだったりとか。宇沢弘文の『自動車の社会的費用』の話とも完全につながる話だと思う。
他にも、自動車の走行地帯をペイントで塗り分けるだけの自転車レーンが、自動車の路駐ゾーンにされるだけでインフラとして機能しないのは、日本の現状だけでなく各国の過去の事例を見れば明らかであると断言して示している点などもよかった。
オランダやデンマークのように、自転車が乗りやすいというだけでなく、明確に自動車の交通量を抑制するという意図でデザインがされており、それを自動車産業が強い日本で実現しようとするのは、相当ハードルが高いことのように思えてしまうのだけど、似たような産業構造のバランスのアメリカだって進めることが出来ているという事実は、結構勇気づけられるところがある。
それから、オランダのような国であっても、市民がなにもせずとも政治の側から現在のようなデザインを実行してくれたわけでは決してなくて、ことの起こりとしては市民の社会運動があったからという点はちゃんと考えないといけないよなとも思った。